ワタシも時々お世話になっている玄光社・ビデオSALONから、「映画制作ハンドブック 」が発売された。
著者はワタシもお世話になっている林和哉さん。いや、知り合いだから、というのではなく、この本、実にバランスの良い良著だと思う。
インディペンデント映画の作り方、というサブタイトルが付いているように、大掛かりな商業作品(勉強にはなるけど参考にはならない)ではなく、小規模な、でも、ちゃんと映像作品を作る、といった規模感の制作解説。
これ、本気で自主制作したり、ローバジェットな商業映像の場合に、とても優れた指南書になると思う。(学生にもイイ感じ、うちのゼミ生にも読ませねば)。
コピーにある「撮影がどれだけうまくても、編集ソフトをどれだけ使いこなせても「映画」は完成しません。」は非常に痛いところを突いていて、往々にして、そういう「専門性の突き詰め」になりがちな映像を、映画全体を「作り上げる」観点で網羅しているところが素晴らしい。
林和哉さん自身は高い専門性を持った方で、そういうテキストも書ける方だけど、この本はそういう専門性や、機材、使いこなし、の話では無く、もっとトータルな意味での全体像を提示してくれる。
結果的に、各パートは食い足りない部分も出てくるのだけど、それはまた別の書籍の領分だろう。
などと書くと、じゃあ、初心者向けなのね、と思う人も多そうだけど、映像制作のスキームって監督の数だけ、プロデューサーの数だけある、ものなので、そういう意味でもとても得るものが多かった。
そう、映像作りに正解なんてないんだよ、XXじゃなきゃダメ、とか、XXXも出来ないくせに、ってのは、その人(のまわり)だけで成立する話だと思う。
映像作りを、作法と上下関係が支配する芸能にしちゃいけない。
などと思いつつ、この本、本気でお薦め、なう(死語)
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