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高い自由度と実用性が光るデザイナーモニター:BenQ PD2706UA

高価なフラッグシップモニターから機能特化型のゲーミングモニター、C/Pに優れた普及型モニターまで豊富なラインナップを擁する BenQ。PD2706UAはそのラインナップの中でデザイナー向けに分類されるプロフェッショナルラインの1台です。
約1か月、大学演習室で試用するなかで感じたのは、独自のモニターアームにより設置や使用時のポジションの自由度が広く、ハイクオリティな色精度とあわせ実用性の高さが印象的なモニターだということでした。この価格帯のモニターの中でベストバイかもしれません。
PD2706UA 公式製品ページ

このレビューはBenQ社より検証機をご提供頂き大学の演習室で1ヶ月に渡り実際に使用、執筆しています。それ以外の利益供与(報酬等)はありません。本レビューは同社に感謝しつつもフェアで正直な視点で書いているつもりです。
事実誤認や間違いがあれば修正し、その修正点を明記します(誤字脱字の修正を除く)。
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PD2706UAはBenQの中でも上位に位置する高精度な色精度を持つモニターですが、本製品の白眉と言えるのは、オリジナルデザインのモニターアームによるフレキシビリティだと感じました。まずはこのモニターアームについて紹介し、モニター本体の色クオリティ、機能についてはそのあとに紹介します。

モニターアームの優位点

モニターをスタンドで「置く」のでは無く中空に浮かぶように保持するモニターアームは、多くのアクセサリーメーカーから販売されていますが、モニターアームが標準仕様の製品は珍しく、PD2706UAはそのレアな1台でもあります。

PD2706UAには台座(スタンド)は付属せず、モニターアームが付属します。そのため、PD2706UAはデスク上に「置く」ことは出来ず、デスク天板の端などを使い、クランプでベースを挟み込み、アームを設置する必要があります。

モニターアームのメリットとして

・台座(スタンド)が無い分、モニター下に空間が生まれ机上を広く使える。

・モニターの位置や向きの調節自由度が大きく作業時の変更調整もやりやすい。

・特にPD2706UAのアームはBenQ独自の工夫に溢れ、自由度とともに操作性にも優れるのが秀逸でした。

今回、Mac miniのメインモニターとして、また、MacBook Proのセカンダリーモニターとして使用することが多かったのですが、その時々の必要性に応じてモニターをきっちり並列に並べたり、手前に引き出したり、斜めに配置したり、あるいはピボット(回転)させて縦位置で使用したり、これらの変更、調整が非常にスムースに出来るのはモニターアームモデルの真骨頂だと思います。

実際にモニターアームの動きを50秒ほどの動画にしてみました。後半に出てくるピボット(回転)に追随して表示画面が自動で90°回転する機能も素晴らしいです。この機能については純正のアプリケーションが必要なので後述します。

BenQ_PD2706UA_ARM from SAIKA on Vimeo.
音楽:https://ibgm.jp

高精度な色再現性を持つモニター

さて、ここからはPD2706UAのモニターとしてのレビューです。冒頭に書いたようにPD2706UAはBenQ社の豊富なモニターラインナップの中でデザイナー向けに分類されます。他に写真編集、高画質エンターテインメント、ゲーミング、ビジネス、等、様々なシリーズがあり、それぞれ目的に応じた特性や機能を持つためどれが上でどれが下とは言えないのですが、価格帯だけでいえば、写真編集>デザイン>高画質エンターテインメント>と言えそうです。このうち、写真編集とデザインカテゴリーが色精度に妥協の無いプロフェッショナルラインです。

PD2706UAもDisplay P3 / DCI-P3 95%、sRGB / Rec.709カバー率 99%のハイエンドな性能を誇ります。数字だけだとピンとこないかもしれませんが、BenQモニターのフラッグシップでワタシの(自宅書斎)プライマリーモニターであるSW321CがDisplay P3 / DCI-P3 95%、sRGB / Rec.709カバー率 100%であることと較べると、ほぼ同性能に近いことが感じられるかと思います。
しかもSW321Cの輝度250cd/㎡、コントラスト比1000:1、に対し、PD2706UAは輝度350cd/㎡(HDR時最大輝度400cd/㎡)、コントラスト比1200:1と、部分的には凌駕する性能を持っています(写真編集モニターは、ハードウエアキャリブレーションによる色管理の定量化が大きな特徴です)。

そしてこれらの色精度はCalMAN認証、PANTONEカラー認証を取得していることでも担保されています。BenQの写真編集およびデザインカテゴリーのモニターが最も重視しているのは、単に綺麗な見え方のモニターでは無く、信頼に足る正確な色再現を保証することだからです。

個人的にはユニフォーミティ(ムラ補正)技術搭載で、画面全体で色、明るさに差の無い表示を実現する機能がとても安心感があります。レンズのヴィネット(光学的な周辺光量落ち)は寧ろ好きなワタシですが、それを表示するモニターにムラがあってはダメだからです。

これらのクオリティを27inchの扱いやすいサイズと4Kの高解像度両立しているのがPD2706UAの特徴です。4K解像度を持つこと、HDR400をサポートすることを合わせ、映像編集モニターとしての活躍も期待出る1台です。

入力端子は最新トレンドに準拠

入力端子はHDMI(v2.0)、DisplayPort(v1.4)、USB Type-Cとイマドキのトレンドを抑えたもの、USB Type-C入力端子は1本でビデオ、オーディオ、データ、給電を送れるので今やメインとも言える接続端子ですが、PD2706UAは給電能力が90Wと過去最大になっています。個人的にはそこまで要らないと思うのですが、MacBook Pro M3 16inch に余裕で対応する仕様なのは◎でしょう(W数が少なくても概ね60Wもあれば使用に問題ありません)。

なお、小さな?ことですが、HDMI、DisplayPort、USB Type-C、すべてのケーブルが同梱されているのはとても良心的だと思いました。

向かって右側面にオーディオ端子とデータ転送に使えるUSB Type-AおよびType-C端子があります。メモリーカードリーダーは搭載されていません。カードリーダーやUSBメモリー等を繋ぐにはこのUSB端子を使いますが、PCとモニターの接続がUSB Type-Cの場合はそのままデータも共有できるHUBとして機能しますが、HDMIやDisplayPort接続の場合はPCとの間にデータ転送用にUSBケーブルを繋いでおく必要があります。
オーディオ端子が側面にあるのはヘッドホン等を挿す時に分かり易くて◎です(背面のポート群にヘッドホンを挿す気にはなれませんよね)。さらにPD2706UAは2.5Wと小さいながらステレオスピーカーを内蔵しているため、オーディオチェックも楽で便利です(上位機にはなぜかスピーカーが内蔵されない傾向にあります)。ただし、試してみた範囲では音質には期待できない印象で、まあ、チェック用でしょうか。

モニター入力の切換やカラーモードの設定など、各種の操作は向かって右側の背面下端に設けられたボタンとジョイスティック型コントローラーで行いますが、BenQモニターの上位機に標準装備されるホットキーパック(外付けコントローラー)がPD2706UAにも同梱されているため、実質的な操作は手元で可能です(後述するDisplay Pilotソフトウェアを使うとPCからコントロールも出来て使いやすいです)。
なお、ホットキーパックはSW272Uから採用されたワイヤレス仕様のG3ではなく、ワイヤード仕様のG2です。ここはコスト的に仕方ない所かもしれませんが、PD2706UAのモニターアームで可動域が非常に広い分、有線のホットキーパックが引っ張られてしまうのが惜しいなあと思いました。

デザインワークに向けた機能が充実

高い精度の色管理や、ムラの無い均一なユニフォミティ、といったモニター本来の実力(クオリティ)については前述しましたが、PD2706UAはプロデザイナー向けだけあって、デザインワークの効率性と生産性の向上に有効な機能がいくつも実装されています。

ひとつはカラーモード、sRGBやDisplay P3、Rec.709といった基本的な(でも大切な)カラーモードは当然として、作業目的にあわせた特性を持つ設定として CAD/CAMモード、デザイン(アニメーション)モード、暗室モードが用意され、作業内容によって使い分けが可能です。

またMacBook Proを持ち歩き、オフィスや自室で大画面モニターに繋ぐユーザーも多いと思いますが、PD2706UAを含めBenQの上位モニターにはM-bookモードというカラーモードがあり、この設定を選ぶとモニターのカラー表示がMacBook Proと非常に近いものになるというMacユーザーに寄り添うスペシャル機能があります。

さらにデュアルビュー(DualView)という画面モードを使うと、1台のPD2706UAに2つの異なる画面モードを並べて表示することも出来、モード別の見え方やフィニッシュのチェックも可能になるので、作業の生産性も向上します。

カラーモードの切換とDualViewを40秒ほどの動画にしてみました。

BenQ_PD2706UA_Color mode from SAIKA on Vimeo.
音楽:https://ibgm.jp

PIP/PBP モード

この機能の有用性はユーザーによって違うかも知れません。PIP(Picture in Picture)、PBP (Picture by Picture)はモニターに2台のPCを繋ぎ、それぞれの画面を1台のモニター(この場合はPD2706UAに同時表示する機能です。

KVMKeyboard,Video,Mouse)スイッチ機能を併用して使うと、2台のPCを入力(キーボード、ビデオ出力、マウス)、表示(モニター)を1組で行うことが出来ます。2台のPCを動かす必要があるけれど、常時操作をする必要はない、ような場合に有効です。

ワタシは、映像素材のバッチエンコードやOSのインストールやアップデートの時くらいしか使っていませんが、そこはひとそれぞれでしょうか。ちなみに昨今はキーボードやマウスの入力装置のワイヤレス(Bluetooth)化が進み、物理的なKVMスイッチの使用ケースは激減していると感じます。

Display Pilotソフトウェア

正直言うと今回の検証で初めて使ったBenQのモニター制御ソフトウエアです。というのもこのソフトウエアはBenQモニターの中でもPDで始まる型番、つまりデザイナー向けディスプレイ、さらにその中でも比較的新しい機種にしか対応していないため興味の対象では無かったのです。

しかしPD2706UAが対象なので使ってみたところ、カラーモードの設定、さらにはPCとモニターでICC設定を同期する機能、モニターのピボット(回転)時に、それに追随して自動的にモニターの縦横表示を回転させる機能、印刷アシスト機能など、おそろしく使い勝手の良いアプリ(Macにインストールして使います)でした。

特にモニターのピボット時に画面表示を回転させるのは意外と面倒くさいのですが、これが自動で出来るなんて、どうしてSWシリーズには対応していないんだろうと、ピボット使用の多いセカンダリーモニター(SW271C)をPD2706UAに交換したくなるほどでした。

まとめ

PD2706UAは高精度かつ広範囲な色管理/再現能力を持つプロフェッショナルモニターです。BenQのモニターは上位機を中心に何年も検証しつつ、同時に自分のモニターとして使ってきて、その色精度と安定した品質に信頼感のあるところですが、PD2706UAはそれに加え、フレキシブルな操作性を提供するモニターアームとPC側からモニター設定をコントロール出来るソフトウエアの実装によって、実用度を大きく前進させました。

モニターは上を見ればキリがなく、一方、安価なものは2~3万からある幅の広い製品ですが、色に拘る仕事、あるいは趣味、を持つ場合、表示装置としてのモニターはクオリティに対する最後の砦と言える重要なデバイスです。BenQの上位機種は価格以上のクオリティで定評のある製品ですが、PD2706UAはそのなかでもトータルバランスの良い1台になったと思います。

今回のレビューで画面に映るモデルはすべて:杏さん です
PD2706UA 公式製品ページ

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