出﨑統氏が亡くなった。
ニュース見出し的には、あしたのジョーやエースをねらえ、だろうけど、個人的にはガンバの冒険、そして宝島。
止め画と入射光の入ったハーモニー処理の多用、は、出﨑節ともいえる作風を確立し、けれんみたっぷりの演出タイプにも思われがちだけど、高畑勲氏と同様、アニメーションを実写映画の方法論から演出した数少ない骨太な演出家だったと思う。
ガンバの冒険世代のワタシには、まあ、神みたいな演出家で、大昔、東京ムービー新社のぺーぺー制作助手だったころ、海外合作のバイオニックシックスのチームにいたことがあるのだが、そのバイオニックシックスのスーパーバイジング・ディレクターが出﨑氏であったことをいまでも秘かな自慢に思っている。
そして、当時、原画動画をまいていた小さな作画プロダクションのアニメーターにいまも友人のKさんがいたのも懐かしい(閑話休題)。
ガンバの冒険に影響を受けた同世代は非常に多いが、宝島も一押し。
完全に主人公のジムを喰ってしまうジョン・シルバーの魅力はスチーブンソンの原作以上だと思うし、出﨑節の真骨頂でもあると思う。
宝島の最終回、老いたシルバーがやはり老いて飛ぶことさえおぼつかないオウムのフリントに、手をさしのべることすらせずに語る劇中最後の台詞
その気になりゃ俺たちゃまだまだ飛べるんだ って言葉は、昔は、ジムの追いかける男の格好いい背中と思っていたが、自分がいい歳になったいまでは、違う意味も読めるようになった。
語りかけるフリントはいないけれど、振り返った先のジムはいるといいなあ。
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SAIKAさんがこのニュースに触れるかなあと期待していましたが、
やはり触れられたので、コメントさせていただきます。
出﨑さん、神のような存在ですよね。宝島は今でも大好きな作品です。
あのテーマ曲を思い出すたびに、
気分だけは大冒険に出かけていた少年の日々をがよみがえります。
以前はときどきカラオケで歌ったりしましたが、周囲の反応が今一つで、
ほとんど歌わなくなってしまったけれど、
出﨑さんの作品の入射光処理のように、
まぶしくキラキラと輝くような作品でした。
あしたのジョー、エースをねらえ、など、
深く記憶に残る作品を世に送り出した出﨑さん。
ご冥福をお祈りいたします。