今週末はAUGM(Apple User Group Meeting)長崎ですね。という訳で(?)2月のAUGM大分2011で行ったプレゼンのデモメイキング、公開するといっておきながらするする詐欺になっていたので、祝AUGM長崎として公開。
まずはMoonとタイトルされた作例。
今回のワタシのプレゼンはMACお宝鑑定団プレゼンツ 「デジタル一眼レフムービーはMAC de Show」
サブタイトルに「一眼レフはムービーの夢を見るか」として、写真とムービーのハイブリッドがテーマ。
使用するのは、この2枚の写真。
左はEOS 5D Mark IIで撮った昼間の大学キャンパス。(RAW)
右は物書堂の廣瀬さんに提供頂いた月の写真。(彼はニコンです。JPEG)
メイキングはこんな感じです。
AUGMの会場ではこれにあわせて解説を入れたので、ポイントをテキストで補完していきます。
—–Making of Moon : by Kazuhiko SAIKA—–
01 Adobe Bridgeで使用する写真をセレクト、Photoshop CS5で開く
02 大学の写真はRAWなので色調を現像時にかなり補正可能。今回はやや空の青みを強めにしたのみ。
03 月はあとで周囲を抜けるようにアルファチャンネルを作っておく。周囲はほぼ黒なので自動選択ツールで容易くアルファを作ることができる。境界線は少しぼかしておく方があとで馴染みやすい。
04 キャンパス近景の木の枝を大雑把に選択し、別名保存。枝だけのファイルを作る。これがあとで別レイヤー(フォアグラウンド)になる。
05 自動選択ツールで枝だけを選択していく。この作業はもうちょっと効率化する方法がありそうだなあ。
06 アルファチャンネルを作って木の枝のみのファイルを作成する。
07 さきほどのキャンパス写真に戻り、近景の木の枝を消去。消去>コンテンツに応じるでアバウトに消すのはあっという間。
08 遠景(中景)と重なっている部分をスポット修復ブラシで近景の枝を消去する。細かく見ればおかしい部分もあるが、実用十分な消去が可能。この生産性がPhotoshop CS5以降の真骨頂だと思う。
ここまでがPhotoshopによる作業。料理で言えば「丁寧な?下拵え」。ここから調理にうつる。
09 Motion4で準備した素材を開く。メイキングには映っていないがシーケンスは1920×1080のフルHD。
10 読み込む素材は
・キャンパスレイヤー(バックグラウンド:背景)
・月レイヤー(中景)
・木の枝レイヤー(フォアグラウンド:近景)
11 近景はあとで作業するので表示オフにしておく。中景の月を動かすため、スタート位置を探って、そのポイントに月レイヤーを移動する。この段階では月は建物の前に表示される。(建物と空の間に表示されるのが目標)
12 キャンパスレイヤーを複製し、キャンパスレイヤー1とキャンパスレイヤー2で月レイヤーをサンドイッチにする。月レイヤーは見えなくなる。
ここでキャンパスレイヤー2(手前)の空を、クロマキーで抜けば、いいというのが狙い。
13 クロマキーヤーにはMotionのPrimatte RTを使用。初期適用時はサンプリングカラーが異なるので変な感じになるが、調整で追い込むと美しく抜ける。
14 サンプリングカラーおよびノイズ除去、マット密度、スピル抑制を調整。
建物の後ろに月が自然に収まったらOK
15 カメラワーク(PAN)を付けるために、キャンパスレイヤー1、キャンパスレイヤー2、月レイヤーをグループ化する。
これで3つのレイヤーは同期して位置を変更する(あとで月レイヤーはさらに別の動きを加える)
16 グループ化したレイヤーを左に動かし仮想的なカメラワーク(PAN)を設定する
17 さらに月レイヤーのみ斜め上方にモーションを設定し動きを付加する。
18 11で表示をオフにしていた木の枝レイヤーを再表示し、位置あわせを行う
19 16の動きに合わせて木の枝レイヤーを拡大しつつ移動、アニメーションで言う「マルチ台撮影」効果をつける。Motionには3次元的にカメラを動かす機能もあるが、ここでは2Dで作業を完結させている。
20 キャンパスレイヤー1(背景)のガンマおよびブライトネスを調整し、空を暗く落とす
21 キャンパスレイヤー2(建物)のガンマおよびブライトネスを調整し、建物を暗く落とす
22 月レイヤーをグローエフェクトで滲ませ、仕上げる。
23 Final Cut Proで音楽を付けて完成(このくらいならMotionで音を付けることも可能)
音楽 iBgm 末松孝久 氏(特別協力)
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