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クマデジタルと共に腹黒い三連星を構成するb’s mono-logから、彼のα7S IIIエントリー内でオマエ、なんか書け、と言われたので、書かないつもりだったα7S IIIについて書いてみる。そして、α7S IIIを見ると、EOS R5のことも見えてくると思った。b’s mono-log氏はそれを「先行する EOS R5 と対照的な関係」と呼びました。
なお、α7S IIIは見事だと思いますが、ワタシはEOS R5を予約済みです。そのバイアスが文章に表れているかどうかは知りません。
にしてもα7S IIIは見事な新機種だと思います。弱点を潰し、良さを磨いて着実にレベルアップさせた印象。プロの信頼に足る仕様に重きを置き、いま、求められるものに応える(いろいろな意味で)堅牢なスペック。
個人的には高感度特性が白眉だと感じます。
発表会のムービーのオープニング、夜の都会の地明かりで回り込むカメラと、モデルの腕に浮かび上がる産毛はぞくぞくしました。手ぶれ補正が凄くなって秒単位のスローシャッターが手持ちでブレないようになっても、動画では1/60秒より遅いシャッターは使えない(60Pの場合)のだから、動画時の高感度時の輝度ノイズ、色ノイズの少なさは非常に重要。スチルだって被写体が動く場合は同じなので最終的にはISよりISOだと思います。
続くカットが動きの中でスローモーションになります。ということは、このショットは元からハイスピード撮影(4Kなら120Pですね、α7S IIIの場合)だということで。ならばシャッタースピードは最低でも1/125sec。冒頭のショットよりは光量に恵まれていますが、それでもISOをあげなければどうにもならない状況。ここまでの一連で、α7S IIIの凄さに唸ります。
ただ、α7S IIIの手ぶれ補正すごいなあと思って見ていましたが、ビハインドザシーンをみると最初のカットはジブアーム、後者のカットはジンバル撮影なので、ちょっとホッとしたり(笑)。ジブアームは「ワンパーソンオペレーションの機動性」とはちょっと違うような(閑話休題です。本質じゃありません)
α7系は兄弟機ラインアップが豊富で、かなり明確にポジショニングを分けていて、動画機を担うSだからこそ1200万画素で行く、という勇断が出来るのでしょう。この確信犯的な割り切りも素晴らしい。
半面、b’s mono-log氏も言うように「ここまでムービーに特化しているにも関わらず、いまだに伝統的なスチルカメラのスタイルを守り続けていることが不自然にすら思えます。」も同意で、動画機ならファインダー要らないんじゃないの?(Behind the Scene見てもEVFを使っているシチュエーションはないように思います)とか、シネカメラ的デザインの方が製品の用途にはあってるのでは、とも思います。
いや、オマエだって動画主体のくせにEOSじゃん、Cinema EOSでもなく、と突っ込みが入るとこでしょうか、ええ、ワタシは「ムービーに強い」スチルカメラが性に合ってるのです。仕事としては両方必要だし、ムービーでバジェットがあれば、それこそC300かC500、あるいはREDを借りてきます。その時はもちろん、DP付きで。プロジェクトがある程度大きくなったとき、自分で回すことは基本ないです(スキルもない、ですが)。
でも思い入れのあるカットは自分で回したくなるので、Bカメとしてまわしますが(笑)だからスチル型EOSなんです、マルチロール機としての。自分がシネカメラを買わない理由はそこです(まあ、大学にあるからというのもあるか)。
その意味でα7S IIIはマルチロール機じゃないのです(少なくともワタシにとっては)。他のα7(もしくはα9)と2台持ちなら素敵なムービーカメラになると思います。要撃機と攻撃機を別に配備できるならF-14とA-6でいいけど、そうでないならF/A-18になるのと同じ(?)です。
そう思うとEOS R5の立ち位置が見えてきます。(自分にとって)EOS R5は動画カメラじゃないんですよね。スチル機としては動画機能に重きを置いている、のはそうでも、スチル機としてなにも諦めていない。でも、飛び道具として強力な動画機能がある位置づけ。トレードオフで飛び道具だから制約がある(例の熱問題とかですね)。
8Kって波動砲みたいなものだと思うようにしています。撃ったらしばらくショックカノンは使えない(そこ、ショックキヤノンとか言わない)、あるいは活動限界のあるエヴァンゲリオンか。
制限のある武器はプロ機じゃない?EOS 5D Mark IIも熱で落ちたし、最初のファームはピュアな30P(29.97じゃなく)だったし、オーディオは44.1kHzで、そのままではプロが使える代物じゃなかったと思います。
そこを工夫し、運用で補い、波動砲として使ったから、その礎があるから、いまの大判センサー文化があると思うので、数年後にはトランジット波動砲を積んだヤマトが登場すると思うのですよね。
ここはホントにユーザー毎の用兵思想の話で、ワタシもブライダルのようなリテイクのきかない現場でEOS R5の8Kを回す勇気はないです。EOS-1D C発表の時に作られたショートムービーのメイキング(The Ticket: Behind the Scenes)のように、時にリグで、時にショルダーで、時にタクシーの座席に押し込まれ、スケボーに載せられ、と、巨大なシネカメラでは出来ない状況に投入される特殊戦機体だとイメージすると立ち位置が見えてくると思うのです。
ああ、あと、EOS-1D X Mark IIIの5.5K RAW動画、EOS R5の8K RAW動画、ワタシはキヤノン、これムービー用途のみとは考えていないと思うのです。オリンピックに間に合わせた、というのがその根拠?で、5.5K 60P、8K 30Pの動画RAWファイルは、(ローリングシャッターの歪み可能性を別にすれば)秒60コマ(30コマ)を分単位で連写し続ける超高速連写機です。そこから任意のコマをRAW現像して切り出せるのですから、まさにバルカン砲というか、
外部レコーダーなしに内部でRAWが撮れる意味は、スチルでこそ意味が大きいと思っています。(外部レコーダー付けて縦位置で手持ちできるなら外部レコーダーでイイと思いますが)
もちろん、すべて自分にとっての用兵思想です。ラインハルトやヤンのようなスゴイひとの用兵論とケンカするつもりはありません。
という訳で、EOS-1D X Mark III 5.5K RAWからRAW現像して切りだした1枚。
model 杏
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