リーズナブルなコンパクトモニターから、プロ用のハイエンドモニターまで幅広いラインナップを揃えるBenQから最近登場した新型モニター SW270Cは、写真ユーザーにも、動画ユーザーにもプロのニーズに応える本格的なモニターでした。
プロの、と敢えて書くのは重視されるのが「綺麗、鮮やか」指標ではない「表示可能な色の広さ、正確さ」指標にあるからです。
同社からSW270Cのモニター機を提供いただき、夏の間、使っていたので、ファーストインプレッションをまとめてみます。モニター機提供以外の利益供与(報酬等)はありません。本レビューはBenQ社に感謝しつつもフェアな視点で書いているつもりです。原稿チェック等はありません、間違いが有ればワタシの責任です。事実誤認や間違いがあれば修正し修正点を明記します(誤字脱字の修正を除く)。
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BenQは製品ラインが豊富で、逆に言えば、どれが自分(のニーズ)に最適か分かりにくい気がします。
このSW270Cは、
・広い色表現域、正確な色再現。ハードウエアカラーキャリブレーション に加え
・HDR、24P正規再生 に対応した映像のプロニーズに対応
・ムラ補正による均一な画面表示 を特徴とします。
そしてUSB-C接続が可能なので、MacBook Pro等との組み合わせではケーブル一本で、映像、音声、データ、そして電源供給もまかないます(60W給電可能)。非常にシンプルな構成で多彩な機能が実現できるのでスピーディなセットアップが可能です。
(小ネタは後述)
遮光フードが付属します。(フードに関しては次回、改めて書きます)
BenQの上位クラスモニターはピボットによる縦位置使用が可能ですが、SW270Cも縦位置になります。なお、縦位置変更時には1度モニター本体を上端まで引き上げて回転させる必要があります。
遮光フードは同社SW271のように組み替えで縦位置に対応するタイプではなく、横位置専用型ですが、写真のように右手側に配置する場合は、フードをつけたままでも大きな問題なく使用可能です。
前述したようにBenQはラインナップが豊富で、正確な色表示を実現するカラーマネジメント対応モニターだけでも数機種が現役。
自分に適した製品を検討するための比較表を作ってみました。
ブルーで塗った項目が優位性のある部分。SW270Cの立ち位置が分かるかと思います。
4K解像度を持ち、接続仕様も新しいSW271、映像のプロ仕様をBenQで初めて実装したPV270、2016年発売とやや仕様が古いながら基本性能は十分でC/Pに優れたSW2700PT、24インチの省スペースで基本性能の高いSW240。
並べてみるとSW270Cは、写真用途の最上位機種SW271とプロ映像用途のPV270のイイトコ取りだということが分かります(解像度はSW271が上)。仕様的に守備範囲が広くオールマイティに使えるSW270Cは、これからしばらくのBenQ カラーマネジメントモニターの主力機になると感じます。
接続インターフェイス仕様は最新かつ充実していて、HDMI 2.0が2ポート、DisplayPort 1.4、USB-C。ヘッドホン出力はありますが、スピーカーは内蔵していません。HDMIが2ポートあるのが何気に便利で、ノートPCのみならずビデオカメラやデジタル一眼の再生確認にも重宝します。
アップストリームUSBに接続するか、USB-Cを使うことによって
側面のSDカードリーダーとUSBポートがPCから使用できます。
ただし、側面と言ってもモニター本体の背面で正直、使い勝手が良いとは言えません。ここに関しては遮光フードに切り欠きまで作って側面I/Oポートを実現したSV270が優秀です。SWシリーズとして筐体設計は踏襲しているせいとは思いますが。
USB-Cを使ってMacBook Proと(写真上)HDMIを使ってiMac Proと(写真下)同時接続した様子。
モニターのボタンひとつで切換でき、かつMacBook Proは電源もSW270Cから供給されるのが便利。
で、前述のようにアップストリームUSBに接続するか、USB-Cを使うことによって側面のSDカードリーダーとUSBポートがPCから使用できますが、上の写真のように表示接続先を切り替えるとUSBの接続先も同時に切り替わります。つまり、上の写真で言うと、MacBook Pro選択時にはUSB-C経由でカードリーダー等が接続。iMac Pro選択時にはUSBアップストリーム接続経由でiMac Proにカードリーダー等が繋がります。
これは便利な一方でOSレベルでのアンマウント処理を行わず切り替えてしまうので、デリケートな記憶媒体を繋いでいるときは注意が必要です。
そしてUSB-Cで繋がっているときはUSB 3.1、そうでなければUSB 3.0接続になるのもポイント。
ただし、SW270内蔵のカードリーダーはUSB 3.0らしいですね、この情報からみると。
各種の設定切換はフロント右下のボタンから行います。
設定項目は広く、かつ、分かりやすく整理されていますが、それだけではなく
BenQの一部機種に採用されているコントローラー(ホットキーパックと呼ばれています)は、その操作を直観的かつスピーディに行える優れたデバイスです。これ、他社も追随してくれないかなあといつも思いますね。
ホットキーパックはSW270C付属のものから新型(G2)になり、操作感や質感が向上しました。
従来のボタン型に加え、ダイヤルを回す、押し込む、を併用することでスピーディで直観的な操作を実現しています。
ダイレクトに機能選択するコントローラーキー、トグルで設定が切り替わるローテーションキー、設定「量」をアナログ感覚で調整するダイヤルキーと、考え込まれたインターフェイスは
それぞれ自由度高く割り当てカスタマイズが出来ます。例えばデフォルトではコントローラーキー、1,2,3はそれぞれAdobe RGB,sRGB,モノクロ、の各カラーモード選択になっていますが、4つ以上のカラ-モードを切り替えたいときはトグルスイッチになっているローテーションキーに割り当てる方が有効です。ワタシはコントローラーキーはそのままにしてローテーションキーに映像編集用のカラーモードを割り当てて見ました。この辺りはまだ試行錯誤中です。
ホットキーパックはBenQのアドバンテージと言えるほど便利ですが、モニターとの長いケーブルが邪魔なのも確か。これ、BlueTooth化してモニターと直接ワイヤレスで繋がってくれたら良いのになあ。
さて、ここで改めてSW270Cのサイズを見てみます。27インチWQHDモニターとしては標準的なサイズ。重量はやや重めの9.5kg。上下昇降幅は約11センチ。この昇降幅は意外と実用的です。
左右スイーベルは左右とも45°。IPS液晶の特性でこのくらい斜めから見ても色の変化が少ないのがいいですね。共同作業で他のメンバーも同時に画面を見ている場合に、視野角によって色の偏移が少ないと安心感があります。
スイーベルやモニターの移動に使える取っ手がスタンド上端にあるのも○。BenQに限らず遮光フードのついたディスプレイは本体を持つと遮光フードが外れてしまうことが多いので、このハンドルは便利です。ただ、SW270Cは9.5キロとやや重いので持ち運びにはバランスに注意が必要。
背面から見ても相応にデザインされているので、教室などで並べてもうるさい印象にはならないと思います。
ベゼルはすごく狭枠とまではいいませんが、まあ、薄い方。メーカーロゴも抑えた明るさ。
という辺りがファーストインプレッション。
これからカラーキャリブレーションの話や、映像編集での実用性等について、様々に試して改めてレビュー書ければと思っています。
公式ページ BenQ SW270
過去のBenQカラーマネジメントモニターレビュー
SW271 : 4K解像度とHDR対応の27型ハイエンドモニター
PV270:動画編集に向いた24P正規再生機能をもつ
SW240:24型FHDながらカラーマネジメント可能なハイエンド入門機
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ベンキュージャパン BenQ27型カラーマネジメントモニターSW270C(WQHD/IPS/AdobeRGB99%/DisplayP397%/HDR/US...