Apple M1 チップのMacはスゴイ、4K編集もサクサクだぜ、な先行レビューを読みながら、えー、ホントかなあと思っていた。4Kファイルって言っても、それ、デモ用に用意されたProRes Peoxyじゃないの?とか。
ので、自分の環境で、8KのHDR PQファイルをFinal Cut Pro で軽く編集し、リアルタイム再生と書き出し時間をM1 Mac miniとMac Pro 2019で比較してみました。
ファイルは自分で撮影した EOS R5の8K DCI(8192x4320)30P HDR PQ素材。
コンテナはMP4でPQ ONなのでビット深度は10bitのH.265/HEVC 4:2:2
ビデオレートは1,300bps(なんでRAWじゃないの?については後述)
これを単純に30秒ずつ2カット繋いだシーケンスを用意し、最初のカットはProRes 422 HQ(16bit 約3,700bps)にエンコード、2つめのカットはネイティブのPQ MP4(10bit 約1,300bps)
そのシーケンスにエフェクトやトランジション、テロップを載せた加工済シーケンスも用意、それぞれ再生時のスムースさをチェックした。
ちなみにMac Pro 2019とMac mini M1、それぞれの仕様は以下
Mac Pro 2019は業務機なので、まだCatalinaです。Final Cut Pro は10.5.1
画面動画キャプチャはQuickTimePlayerの画面収録を使っているので、若干、FCPの再生に影響が出ている可能性はあります。
まず、単純に 8KDCI(8192x4320)を無加工のシーケンスと、エフェクト等を追加したシーケンスで比較。ライブラリは内蔵SSDに置いています。Mac Pro 2019とMac mini M1のSSDは概ね同じようなスピードなのを確認しています。
M1 Mac 再生_内蔵SSD比較 8KPQ from SAIKA on Vimeo.
0:00-0:30 ProRes 422 HQ(16bit 約3,700bps)無加工
0:30-1:00 PQ MP4(10bit 約1,300bps)無加工
1:00-1:30 ProRes 422 HQ エフェクト等加工
1:30-2:00 PQ MP4(10bit エフェクト等加工
2:00-2:30 ProRes 422 HQ エフェクトありなしで比較
2:30-3:00 PQ MP4(10bit エフェクトありなしで比較
もちろん、エフェクト部分はレンダリングを事前に行わず、画面表示は品質優先設定です。
ProRes 422 HQ部分はMac Pro 2019の方は非常に滑らか、Apple AfterburnerボードのおかげかCPU使用率も余裕あり。一方Mac mini M1はCPU全開だけどコマ落ち。なんだ、やっぱアップルシリコンって言うほどにもない・・と思ったら・・。
PQ MP4のネイティブ再生部分になると逆転、ともにコマ落ちはあるものの、あきらかにM1 Macの方が滑らか。これらはエフェクト等を掛けても同様で、エフェクトによる差は多少出るものの、差ほど大きくない。特にM1 Mac。
次にM1 Macの外部I/Oが遅いのを受けて、Final Cut Pro のライブラリをUSB-C接続の外付けSSDにおいて、同じテストをしました。使ったSSDは「USB-C接続のSSDの中では最速に近い」SanDisk Extreme 900 SSD 960GB:USB 3.1 Gen 2 (公称 R/W 850MB/s)
M1 Mac 再生_外付けSSD比較 8KPQ from SAIKA on Vimeo.
0:00-0:30 ProRes 422 HQ(16bit 約3,700bps)無加工
0:30-1:00 PQ MP4(10bit 約1,300bps)無加工
1:00-1:30 ProRes 422 HQ エフェクト等加工
1:30-2:00 PQ MP4(10bit エフェクト等加工
2:00-3:00 内蔵SSDと外付けSSDで 0:00-1:00部分を比較
3:00-4:00 内蔵SSDと外付けSSDで 1:00-2:00部分を比較
外付けSSDのリードが遅くなるのが災いしてか、ProRes部分はMac mini M1で大きくスコアを落とします。逆にネイティブ部分では遅くなっても3,000bpsくらいのせいかボトルネックにならず、内蔵と同等に見えます。うーん、M1チップのMacではProRes 422を使わない方がいいのかもしれません。
最後に書き出し(共有)速度の比較
M1 Mac書き出し比較 8KPQ from SAIKA on Vimeo.
ライブラリを内蔵SSDに置いて内蔵SSDに書き出す場合と
ライブラリを外付けSSDに置いて外付けSSDに書き出す場合をそれぞれ比較
書き出すシーケンスは上記で使ったエフェクト有りのもの。60秒尺 8KDCI 30P
書き出しフォーマットはProRes422
M1 Macは綺麗に8コア使いますねえ・・・。そして結果をみると、なんというか、書き出し作業に使うだけでもアップルシリコンMacを導入する意味がありそうで、嬉しいやら悲しいやら。
Mac Pro 2019、Apple Afterburnerボードを搭載しているのでかろうじてプライドを保てた感があるけれど、そうでなかったらと思うと、いやあ、なんというか(苦笑)
ちなみに本命のEOS R5 8K RAWファイルで比較したいのに出来なかった理由は・・・そう、M1 MacのFinal Cut Pro はまだプラグインが動かないのですね・・ので、そこは対応後に試してみたいと思います。それまではMac Pro 2019がメインマシンです、ええ(笑)
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