角川武蔵野ミュージアムで開催中の 中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る に行ってきました。音楽を「展覧会」で見せるって、とても難しい事だと思いますが、過剰に映像や体感型コンテンツに寄ることのない誠実なアプローチが印象的でした。
展覧会のタイトルでもある「時代」の歌詞が迎えるエントランス。
会場は全体が螺旋状のカーブを描くようになっています。これ、レコード盤がサブテーマなんですね。展覧会のキービジュアルも「らせん」を描いています。「時代」の歌詞を込めているのも含め、展覧会の構造自体に意識的であろうとするキュレーターの意思を感じます。
最初に迎えるのは、中島みゆきの歩み。レコードや著書の展示ですが、複製や写真では無く、本物、というのがある意味凄い。もっともそれゆえのビニール等が照明を反射してちょっと見にくいのですが。
そのレコード群の下には年表。
中島みゆきの作品群はとても好きだし、夜会にも行ったことがありますが(いまはもう全然チケットが取れませんね)マニアではないので、作品の歴史にはまったくと言って良いほど無頓着だったのですが、大学を出た翌年5月にヤマハのポプコン(第9回)で入賞、9月にデビュー、10月にポプコン(第10回)でグランプリを獲るのですが、この時の歌が「時代」。大学を出て2年目に「時代」なんですね。
緩やかなカーブを描く通路に沿って、いくつかの展示コーナーがあるのですが、気になったところのみコメント。なお、中島みゆき展は、一部(衣装)を除き、撮影可能です。
通路に沿って、楽曲のタイトルが柱のように並んでいます。このタイトルの裏面には、その曲に沿った田家秀樹氏と瀬尾一三氏の対談が掲載されています。中島みゆきさんの歩みを考えるときに外せない瀬尾一三氏のコメントは読み応えがあるのですが、これは公式パンフレットに載ってるだろうと思い込んで半分くらいしか読まなかったら、なんとあんな厚い公式パンフレットには収録されていなかった。うーん、そのためにもう一度行くのは・・。
関連書籍を集めた本棚が唐突に現れたり、
映画やCMとのコラボ、提供を紹介するコーナーもあります。
アリスとテレスのまぼろし工場も良かったですよねえ。岡田麿里さん(監督)のコメントも熱いです。
そして展覧会の核ともいうべきレコードの間。
リクエストをすると、その曲を「レコードで」かけてくれます。展覧会場は螺旋の通路でひと繋がりなので、その歌が会場全体に流れていく演出。これは上手いと思いました。
この部屋の前に小さなベンチがあるのですが、そこに座り、あるいは近くに立ってじっと聴いているひともいます。わたしより若いくらいの女性が目を真っ赤にして俯いていました。なにか強い記憶と結びついているのか、
ちなみにリクエスト可能な曲はこれ。順番に係のスタッフがかけてくれます。わたしの時はおよそ30分待ちくらいだったでしょうか。
レコードプレイヤーは YAMAHA TT-S303でした。
あとで思ったのですが、レコードなので頭出しは盤面の溝を読むんですよね。慣れれば難しいとは思いませんが(わたしもやってました)、絶え間ないリクエストに応え、正確に曲を流す係のお兄さん(でした)は大変だなあと思いましたね。
そして展覧会のハイライトは、歌詞が帳のようにさがる言葉の森。
言霊、というと安易な言葉になってしまいますが、彼女の歌はすべて言葉ありきで、その言葉の強さが歌となって我々に届いてくることを再認識させられます。
中島みゆきさんと同じ時代に生きたことは幸せなことだなあと思わせる、そんな展覧会でした。
会場は角川武蔵野ミュージアムですが、同じミュージアム内の(でも違う場所なので別料金)本棚劇場で土日だけ、「時代」が流れる特別タイムがあるようです。えー、平日もやってよ・・。
中島みゆき展 「時代」2024 めぐるめぐるよ時代は巡る 公式サイト
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