出先で本格的な制作環境を組むとき、あるいは撮影時のプレビューモニターとして、持ち運び前提のモバイルディスプレイは必需品(というと大袈裟?)ともいえる周辺機器。
GeChic社のOn-Lap 1503Hは、15.6インチの(モバイル用としては)大型の画面サイズにフルHD解像度のIPS液晶を搭載した可搬型モニターディスプレイ。一般的にモバイルディスプレイはサブディスプレイとして使うことがほとんどだと思いますが、この1503Hはメインのディスプレイとしても好適なギミックを持っています。
2年半まえにGeChicの11.6型モバイルディスプレイ On-Lap 1101Pをサンプル提供頂きレビューしたご縁で、同社のOn-Lap 1503Hをレビューさせて頂くことになりました。
・サイズ、基本機能
・MacBook Proとのデュアルディスプレイ運用
・写真撮影時のプレビュー運用
・メインディスプレイとしてのサイネージ風システム
の順でファーストインプレッションを書きます。
このレビューにあたり、GeChic社より該当製品(On-Lap 1503H)のサンプル提供を受けていますが、それ以外の利益供与(報酬等)は発生していません。
また、同社およびレビューズ事務局は記述内容に関与していませんし、事前に原稿を見せることもありません。公開後、内容の事実誤認等で訂正した場合は、修正部分を明示します(誤字脱字の修正を除く)。このブログにおける【AD】【PR】等 表記と運用ポリシーについてはこちらをご覧下さい。
https://mono-logue.studio/3394
1101Pと較べると流石に大きなボディのOn-Lap 1503H
本体と画面保護カバーのセット構造は同じですが
本体とカバーの固定にマグネットの固定パーツがつくなど、意匠、質感は大きく向上しています。ここはとてもポイント高い部分ですが、けっこう外れやすく、鞄との出し入れでこのパーツだけ鞄の底に取り残されるケースが多発(ケースだけに)したのは痛し痒し。
On-Lap 1101Pではカバー側にあったスタンドが1503Hでは本体側になりました(取り外し可能)。設置角度は3段階から選べます。本体運用時にカバー不要になったのは◎、ただ、1101Pもそうだったのですが、このスタンドの硬質ゴム素材、滑り止めの機能としては優秀なのですが写真のようにあっという間に汚れます。
1503Hは背面も美しい質感と塗装だけにちょっともったいない部分。
15.6inchのサイズ感を見てみましょう。
下からOn-Lap 1503H、MacBook Pro 15inch(2017)、MacBook Pro 13inch (2017)
後述しますが、この(ほんの少し)MBP15より大きい部分が、鞄選びのネックになります。
手持ちのOn-Lap1101Pもあわせスペックを比較してみます。
On-Lap 1503H、1101Pともに解像度はフルHD。Retina液晶であるMacBook Proと較べると不利ですが、実使用感(画面の広さ)に影響するスケーリング解像度ではMBP15と同等です。
重量が軽いのも特徴で、1503Hはカバー、スタンドを含めたフル装備状態でMacBook Pro 13inchと同等です。1101Pに至ってはフル装備で700gを切ります。
解像度、クオリティではOn-Lap 1503H、1101Pに大きな差はないので、画面サイズか可搬性か、の観点で選んでもイイと思います。
個人的にはクルマなら1503H、歩き(電車)なら1101Pかなあ(軟弱ですみません)。
MacBook Pro 15 (2017)とOn-Lap 1503Hのデュアルモニター運用例。
セレクト(Bridge)を1503Hに、編集(Photoshop)をRetinaに置くのがポイントでしょうか。
On-Lap 1503Hのポート、操作ボタンは左側面に集約されました。入力はHDMI(マイクロ)、VGAです。USB Type-Cのコネクタは電源供給のみで映像入力には使えませんでした。
MacBook ProはHDMIポートを廃止し、Thunderbolt 3に一本化(いや、ポートは2系4本ですがw)したためHDMI接続にはアダプタが必要です。
USBマルチディスプレイに対応してくれると電源供給含めケーブル1本で済むのですが、ここは無い物ねだりでしょう。
同梱される付属ケーブル類。
USB-A to USB-C(電源)ケーブル(1.2m)
HDMI to Micro HDMIケーブル(1.2m)
ACアダプタ(5V2A)
Thunderbolt3(USB-C)-HDMI変換アダプタは接続機器と相性問題があって、ワタシの勤務する大学や講演先で認識しないケースが時々発生します。そのためワタシは複数のアダプタを持ち歩く羽目になっています。
個人的に気になるポイントなので手持ちの変換アダプタでテストしてみました。
結果、どれも正常に動作してちょっと肩すかし(笑)。ワタシが試したアダプタは以下の通り。
写真左上から
アップル純正 USB-C Digital AV Multiportアダプタ
Anker USB-C to HDMI Adapter
ALMIGHTY DOCK TB2
ALMIGHTY DOCK C1
On-Lap 1503Hの標準輝度は300 cd/㎡。コントラスト比は700:1。そしてIPS液晶の特徴でもあるけれど水平垂直160°の広い視野角を持つので、出先での編集環境構築にも大きなアドバンテージがあります。
ただし応答速度は標準で12.5msですので、映像編集時には注意(実用上は問題になりませんが)。
On-Lap 1101P同様、写真(あるいは動画)撮影時のプレビューモニターとしても優秀です。
モバイルバッテリーで駆動可能なので屋外でも使いやすいのが◎。
この用途に使えるのはHDMIディスプレイならでは。
一方、1101Pは三脚マウントキットが付属していますが、On-Lap 1503Hには現段階で三脚マウントキット自体が用意されていません。このサイズの液晶をマウントするのは危なっかしいので悩ましいところですが、撮影支援には24P対応の1101Pにアドバンテージがあるといったところでしょうか。
それでも、こんな感じでフォーカスを追い込む等の用途には最適。撮影直後のポストビュー(確認)作業の効率も精度も大きく向上します。
上記シチュエーションで撮ったもの。
EOS 5D Mark III / EF24-105mm F3.5-5.6 IS STM 最短撮影距離付近での撮影。
EF24-105mm F3.5-5.6 IS STMの最短撮影距離は40cm。EF24-105mm F4L ISより5cm短く、結果、撮影倍率も0.3倍とF4Lの0.24倍より寄れる。
のを距離を微調整しつつ、試してみました。
背面の拡張ポートを使った応用展開
On-Lap 1503Hの入力端子は他のOn-Lap同様に側面ですが、そのため使用時にはこのように接続ケーブルが露出し、やや雑然とします。
それを避け、すっきりとした見た目を作るためのギミックが背面に設けられた拡張ドックポートです。
この拡張ポート用の別売りオプションとして
・リアドッグ(主にスティック型PC接続用)
・HDMI-A/USB-Aドックポートケーブル(小型PC接続用)
のパーツが用意されています。
ここではHDMI-A/USB-Aドックポートケーブルを使ってテーブルトップサイネージ風システムを作ってみます。
HDMI-A/USB-Aドックポートケーブル(約3,200円)
ドックポート接続アダプタとHDMI/電源供給用USBが一体化したケーブル。
アダプタ部固定用ネジとケーブルベルトが同梱されています。
背面ドックポートの蓋を外し、専用ケーブルを接続します。
この接続にネジ(そしてドライバー)が要るのが残念なところで、コスト上の制約があるとは思うものの、ここはレバーやその他の仕組みで手間の少ない拡張が可能な仕様にして欲しかったところ。(外すと無くしてしまいがちな端子蓋やネジの対策も含め。)
この背面ドックポートを使ったHDMI入力は、側面のHDMI入力と排他ではなく、入力切換が可能。そのため、両方のHDMIにそれぞれ機器を接続しスイッチング使用ができます。
スタジオ撮影時に一眼レフとパソコンをそれぞれ接続おくことで、コンパクトなシステムを作ることも出来、応用の幅が広そうです。
AppleTVを使ったデスクトップビューア。
正面からはディスプレイしか見えないシンプルな外観が作れます。
リモコンひとつですべての操作が可能なApple TVはこのような時に最適でしょう。
電源は長時間駆動が可能なように大容量のモバイルバッテリーを使っています。
AppleTVはAC駆動なので残念ながらコードレスシステムにはなりませんが。
macOSが走れば、keynoteの自動プレゼンテーションのリピート再生も可能。
リモート機能を使ってネットワーク越しに操作も可能ですしね。
そう、Mac miniならね。近年、モデルチェンジがなく、継続が不安視される最小型Macだけど、こういう使い方には強いんだけどなあ。
様々な使い方を試してみた印象をまとめると、GeChic On-Lap 1503Hはモバイルディスプレイらしいセカンダリーのサブモニターや一眼ムービー等のプレビューモニターとしての使い方はもちろん、その15.6インチの大画面を活かして、小型のPCと組み合わせてプライマリーディスプレイとしてサイネージ風の展開が面白いモニターディスプレイに思う。
ただ、そのサイズゆえ鞄を選ぶのも事実で、ワタシのよく使う鞄の中で
写真上から
・TUMIのバッグには余裕
・TENBAのMessenger DNA 15にはぎりぎり入らない
・ひらくPCバッグはぎりぎり入るものの角が当たって微妙
な状態。
製品の機能、クオリティはよくできていて、価格もリーズナブルで応用範囲も広いけれど、可搬性というか機動性に課題が残る、そんな印象です。
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