映像は音が付き(トーキー化)、色がつき(カラー化)その都度、新しい表現を切り開いてきた。そして何度も試みられつつも根付かなかったのが立体映像(3D化)だ。
だが、ようやくオオカミ少年の汚名を濯ぐときが来たかもしれない。AVATARもアリスも、単に「3Dやってみました!」ではなく、きっちり作られた良作だ。っていうか、最初の立ち上がりからあのレベルのものを作られると日本映画の未来に絶望感を抱くほど。
ハリウッドは本気だ。
そして、ソニーもパナも、本気だ。
という訳で、ソニーの3D BRAVIA 1号機となるLX900シリーズの説明会に参加してきた。
斎藤栄一氏による技術解説は1時間近くに及ぶ圧巻のものだったが、他の方がレポートしてくださっているので、ここでは割愛(おいおい)。
スーパー要約すれば、家庭用であっても、画質、使い勝手に妥協しないクオリティを得るため、ソニーのアドバンテージである4倍速駆動のXLEDバックライト技術をフルに投入すること、ワールドワイドに大人から子供までフィットする3Dメガネの開発(結果的にメガネは小型版との2種展開となる)が軸となった。そして、3Dテレビを特殊なものにせず、リビングのテレビとして通用する高輝度なものとしたこと、って話。
そして、メガネ職人を名乗る亀友計彦氏による3Dメガネ開発秘話(?)
サービス精神旺盛な爆笑プレゼンだったのはどなたかが書いてくれるだろう(笑)が
彼が完成させた3Dメガネ TDG-BR100(すりーでぃぐらす ぶらびあひゃく)を装着すると
ちょいワルオヤジに変身できる(違う)
波動砲発射前のヤマトの第一艦橋になる(これも違う)
このブラビアが
こうなるのだ(イメージです)
いや、冗談めかして書いたものの、実際に見ると驚く。これは凄い。
で、ひそかに感心したのが、よい意味でミニマムなデザインになったボディデザイン。以前、ソニーがブラビアで見せたガラスとの組み合わせや光沢感のあるフレームといった主張するデザインではなく、シンプルで美しいソリッドなラインとマットな質感。
2007年末にお別れするまでリビングのテレビはプロフィールプロ、書斎のモニターはいまでもPVMのワタシには、とても好感の持てるデザイン。
これはいいなあ。
どうやらこれをソニーはMonolithic Design(モノリシックデザイン)と呼ぶらしい。ああ、2010年だもんね。ってのはともかく(笑)
ビデオはYouTubeのSonyオフィシャルチャンネルから
3Dの流れには、正直、懐疑的な気持ちもある。ガンダムやマクロスは3Dで見てみたいが、カサブランカやローマの休日を3Dでみたいとは思わない。あ、踊る大紐育やウエストサイド物語なんかは意外といいかな。
だが、映画は芸術で生まれたわけではなく、リュミエールやメリエスの時代から、興行だったのだ。3D映画はその文脈で言えば映画の原点回帰とも言えよう。そして、それを普及させるには、昔と違いテレビモニターとの協業が不可欠なのだ。
一過性ではない、優れた作品と、きちんと作られた優れたハードウエアが続々と出てくることに期待。
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